花咲か爺さん


花咲か爺さんは愛犬をとなりの意地悪じいさんに殺されてしまいました。
悲しみのうちに裏庭に遺骸を埋め、その上に一本の木を植えました。
さらに臼(うす)まで壊され、仕方なく燃しその灰を木にかけると、枯れ木のようだった木が桜で満開になりました・・。
思いもしない奇跡が起きて、愛犬は花咲か爺さんに幸運を運んできました。

これは中世の日本、すくなくとも1000年以上前からの「祖霊信仰」に基づいたお話と言われています。
亡くなった死者(先祖)は屋敷の片隅に埋められて、子孫を守っていくという風習が最近までありました。
つまり死者は家とともに定着すると言う考えが受け継がれていたのです。
そして「屋敷神」として祭られていきました。

この葬法は明治17年に公式には廃止されました。
家から60間離さねばならないという法律ができたのです。
また、駅・鉄道からも離さなければならないとされました。
衛生上の問題と御上である天皇が通られるかもしれない・・という理由です。
こうして神道的な「死穢(しえ)」を嫌う宗教信仰と重なって、死者が出ると神棚に白紙を貼ったり、清め塩をしたりするようになりました。